ここ数年、よく耳にするようになった、Highly Sensitive Person(HSP)とは、心理学的にどのような人なたちのでしょうか。この言葉は1997年に生まれたにも関わらず、最近になってよく使われるようになったのはどうしてか、合わせて考えてみます。
もう少しで眠りに落ちるところで、急に部屋のライトをつけられたら、不快に感じます。一方で、凍える冬に南半球にう行き浴びる太陽の光は心地よく感じるでしょう。このように、同じ感覚刺激でも、不快に感じる場合もあれば、快く感じることもあります。
ちなみに私は、固い床でイスを引きずる音が苦手です。ところが、この音を全く気にしない人もいるようです。ショッピングモールのフードコートなどでこの音を聞くと、「止めてくれええ!」とも言えず、その場を離れるしかないのが悲しいです。
一方で、子どもの頃は食べられなかった食材が、大人になってから食べられるようになったり、逆に好きになったりすることもあります。すると、感覚刺激に対する評価が、その人の中で変わりうる、ということもあるようです。
Highly Sensitive Person は、大きな音や眩しい光が苦手であり、それは生得的、つまり生まれ持ったものだと定義されています。すると、さまざまな刺激が入ってくるだけでなく、その入ってきた刺激を「不快」だと評価する特徴があるのでしょう。このため、ゴワゴワした布地、サイレンの音、眩しい部屋を避け、滑らかな布地、静かで薄暗い寝室を好むこと言われています。触覚については「痛み」を避けますが、味覚については「カフェインを避ける」とされており、これは味の強さというよりも、神経を昂らせるカフェインの持つ性質を避けようとすると推測できます。
それでは、このような感覚刺激の「評価」は生得的つまり生まれ持ったものなのでしょうか。心理学の有名な理論に古典的条件づけというものがあります。例えば、丸い物を見せながら電気ショックを与えると、その動物は丸い物を逃げ出そうとします。動物は「学習」によって、特定の刺激を恐れるようになるわけです。すると、感覚刺激を不快だとする傾向は、生まれつき持ったものかもしれませんし、学習によって後天的に身につけたものかもしれません。
ここまでをまとめてみます。Highly SensitivePerson は、生まれ持ったものかに関わらず、強い感覚刺激を不快だと評価する傾向があります。このため、大きな音に圧倒されたり、カフェインや痛みを避けようとします。
文:国際医療福祉大学 赤坂心理学科 HIKARI Lab監修 小堀修
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