今回は、検査を繰り返すことで、エラーが出やすくなる、というのはどういうことか解説していきます。
コロナウィルスに罹患しているかどうかを判定する検査に、PCR検査という者がありました。ところが、本当は罹患していないのに、陽性という結果が出てしまうことがあります。これを偽りの陽性と書いて「偽陽性」と表現します。いっぽうで、本当は罹患していないのに、陰性という結果が出ることを「偽陰性」と表現します。
それぞれの検査には、感度、特異度、という指標があります。おおざっぱにいうと、感度が高い検査は、偽陽性が出る確率が少なく、特異度が高い検査は、偽陰性が出る確率が少ないため、どちらも高い検査ほど、精度の高い「よい検査」といえます。
それでは、検査を繰り返すと、エラーが出やすくなる、ここでは、本来は罹患していないのに陽性が出てしまう、のはどうしてでしょうか。
こんな状況を想像してください。1%の確率で「当たり」が出てもう1本ジュースがもらえる自動販売機があります。あなたがジュースを1本買ったら、当たりが出ると予想しますか?
いいえ、多くの人が「当たらない」と予想したことでしょう。それでは、大金を投じて、その自動販売機で100本のジュースを立て続けに買ったら、当たりが出るでしょうか??
多くの人が「1回くらいは当たりが出る」と思ったのではないでしょうか。このように、ある検査が偽陽性を出す確率が1%で、罹患していないならば99%は陰性という結果が出るとしても、100回検査を繰り返すと、1回は「陽性」という結果が出てしまうことになります。
客観的には「100回検査をして、99回は陰性だった。1回陽性だった。それってエラーじゃないの」と思えるかもしれません。しかし、病気不安を持った人であれば「ついに罹患してしまった。正しい結果が出た」と思ってしまうでしょう。
文:国際医療福祉大学 赤坂心理学科 HIKARI Lab監修 小堀修