病気に対する不安が持続するのは、このようなメカニズムだと考えられています:
1) 身体に生じる「雑音」に耳を済ませて
2) 「もしかしたら重篤な病気ではないか」と心配し
3) 診察、検査、自己点検を繰り返したり、 健康を損ないかねない活動を避けてしまう
今回は病気不安を持つ人が、どのように身体の雑音を聞き、どのように考えるのか、解説して行きます。体内の変化、つまり、身体が発する雑音は、多くの場合ノーマルなもので、医療機関を繰り返し受診したり、一生懸命にウェブで病気について調べることはしません。ところが病気不安を持つ人は
· 動悸がすると「心臓発作が起こるのではないか」
· 胸にしこりがあると「乳がんではないか」
· 呼吸がしづらいと「空気が十分に入ってこない。肺がんかもしれない」
· 頭痛が起こると「脳腫瘍では」
· 関節痛があると「関節がすり減っているのでは」
· 皮膚の赤い斑点を見つけ「皮膚がんではないか」
· 疲れやすいと「血液の癌ではないか」
· 手がしびれると「多発性硬化症では」
といったように「これは重篤な病気のサインではないか」と心配してしまいます。さらに、雑音が全く聞こえないときでも
· 昨日と比べて、良くなるだろうか、悪くなるだろうか
· 悪いところがあるのに、医者が気づいていなかったらどうしよう
· 念のため検査を受けておいたほうがいいだろうか
と心配を続けます。このような心配、つまり、言葉による活動だけではなく、イメージを伴うことがあります
· 高額な薬を毎日たくさん飲むイメージ
· 治療で髪の毛が抜けていくイメージ
· 自分が死んだあと、残された家族が悲しむイメージ
といったイメージが頭から離れなくなってしまうこともあります。このように心配すれば、不安が高くなり、さまざまな用心=予防行動を取ることは理解できます。次回は、病気不安を持つ人がどのような用心をするのかについてお伝えします。
文:国際医療福祉大学 赤坂心理学科 HIKARI Lab監修 小堀修