病気に対する不安が持続するのは、このようなメカニズムだと考えられています:
1) 身体に生じる「雑音」に耳を済ませて
2) 「もしかしたら重篤な病気ではないか」と心配し
3) 診察、検査、自己点検を繰り返したり、 健康を損ないかねない活動を避けてしまう
前回は、身体に生じる雑音にどのようなものがあり、そのような雑音はノーマルな体内の変化であることを説明しました。今回は、そのような雑音が生じるメカニズムを知ることで、雑音を聞いても慌てず、病気不安の予防につなげます。
身体が雑音発するひとつめの理由は、ホメオタシスです。これは、どのような環境でも、体温と酸素のレベルを一定に保とうとする働きで、心拍数、呼吸数、筋肉の緊張、発汗が私たちの意志とは無関係に増減されます。例えば、身体が熱せられると、血糖値が下がり「疲れ」を感じ、活動量を下げようとしたり、汗をかいて体温を下げようとします。これらは「突然」に起こり「不快感」を伴うので、病気の症状だと思ってしまうことがあります。
次に、食べ物、食べる量、食べる時間が変わることです。海外に旅行や出張で行くと、少なからず体験することだと言えます。食行動が変わることの結果、
· 頭痛、血圧、心拍数、呼吸数が変わる
· 尿や便のにおいや色が変わる
· 胃腸の不快感が生じる
· 胃腸が膨れる感じが生じる
といった雑音が生じます。睡眠不足や眠りすぎ、運動のしすぎでも、似たような雑音が生じます。
また、不安、恐怖、興奮、怒り、といった感情が高まることで、交感神経が活発になり、身体に変化が生じます。他にも「軽度の風邪症状」や「軽度のアレルギー症状」も、身体の雑音に含まれると考えていいでしょう。不快な体験ではありますが、慌てることなく、自宅で休養すればよいものです。
次回は、このような身体の雑音が生じるメカニズムが分からず、過度に心配してしまうと、どうなるか、解説していきます。
文:国際医療福祉大学 赤坂心理学科 HIKARI Lab監修 小堀修