ロボットは感情を持ちえるのか (4): 私たちの「基本的」な感情

November 27, 2020

私たちの健康を維持、増進する、ヘルスケアにおいて、ロボットが目覚ましく発展するようになりました。私たちの心のケア、メンタルヘルスのケアに、ロボットは参入できるのでしょうか。 

 

私たちヒトは、どのような感情を「持って生まれ」て、どのような感情を「学習する」のでしょうか。

 

感情の研究が始まったのは、1960年代とされています。文化人類学者や心理学者は、どの文化にも共通した感情が6種類あり、それは人間が生まれもったものだと考えました。最初の写真をみて、それぞれの感情を当ててみてください。

 

上の段の左から、怒り、恐怖、むかつき

下の段の左から、驚き、喜び、苦痛

 

と理解されています。これらの感情を私たちが生まれ持つのはどうしてでしょうか。

 

これらの感情は「自分以外に誰もいない」環境、例えば無人島で生まれ育っても体験するから、という説明が一般的です。それでは、他人が誰もいない環境で、どのように、6つの感情を体験するのでしょうか

 

怒り: 何か理不尽だ、不公平だと考えるときに感じます。例えば、一生懸命に育てた農作物を他の動物が荒らしてしまったり、嵐で台無しになってしまったときなどです。

 

恐怖: 森の中を走っていたら目の前に崖があったとき、大きな熊がいた時など、自分に危害が及ぶことを予期したときに感じます。

 

むかつき: 原語は Disgust という単語で、うんざりするほど嫌になる、とも訳されます。これは消化器に異常があるときに感じます。例えば、美味しそうだと思って食べた実が腐っていたときなどです。

 

驚き: 新奇なもの、今までに体験したことのないことに遭遇したときに感じます。例えば、新しい景色、動物、食べ物を見つけたときなど。

 

喜び: 食事をしたとき、食事となる獲物を捕まえたときなど、自分に「報酬」が与えられたときに感じます。

 

苦痛: ケガ、病気、上記のように農作物が台無しになったときなどに感じます。

 

ロボットがこれら6つの感情を持つだけでも、かなり複雑なプログラミングが必要になることがわかります。ロボットがひとつしかない環境であっても、理不尽だという判断、危害が迫るという判断、電力の供給が動作を悪化させるという判断など、心理学で「認知」と呼ばれる心の働きが必要となるからです。次回からはさらに、私たちが学習する感情と、感情と「認知」の相互作用について学んでいきます。

文:国際医療福祉大学 赤坂心理学科 HIKARI Lab監修 小堀修

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